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2025/11/05

  • 校長先生からのメッセージ

2025年度 創立記念式典「光の子を何にたとえるか」

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 乙女坂の木々が紅葉の彩りを見せはじめた今日、聖霊中学・高等学校は第76回の創立記念日を迎えることとなりました。カトリック教会名古屋教区長の松浦司教様をはじめ、多くのご来賓の皆様にご臨席を賜り、この日を共にお祝いできますことを心より喜び申し上げ、深く感謝いたします。

 本校の教育理念である「光の子として生活せよ」という言葉は、歴代の校長先生方のお話にもたびたび登場します。その中で「光の子」はさまざまなものにたとえられています。

 一つは、光の子をロウソクにたとえたものです。マタイによる福音書にも記されているように、ロウソクは升(ます)の下に置かれるのではなく、燭台の上に揚げられ、周囲を照らします。
ロウソクは明るさだけではなく、温かさをも与えます。「光の子」もまた、同じように、周囲の人々を温かく見守り、照らし、明るく、希望に満ちた世界を築いていく存在です。

 もう一つは桜の木にたとえた話です。桜の木は、春に見事な花を咲かせるために、夏には葉を茂らせ、栄養を蓄え、冬には静かにつぼみを膨らませます。「光の子」もまた、まるで桜の木のように、時間をかけて自らの才能と力を磨き、成長し、未来の社会をより美しく、明るくしていく存在となるのです。皆さんもそうであってほしいと思います。

 かつて、ある生徒が別のたとえ話を私に教えてくれました。彼女は「光の子」をタンポポのようだと言いました。タンポポは、花の中でそれほど目立つようなものではありません。わざわざ自分の庭に植える人もあまりいないでしょう。しかしながら、その生命力は実にたくましく、踏まれても再び立ち上がります。そして、広い野原に咲き誇るたくさんのタンポポは、見る人の心を和ませます。このタンポポのように、ひとりの「光の子」は目立たない存在かも知れませんが、他の「光の子」と力を合わせながら、どんな困難があってもまた立ち上がり、その力が集まったときには周りの人々を明るく元気にすることができると思います。

 タンポポは花が終わると、真っ白な綿毛になって、風に乗って、飛んでいきます。そして、新しい土地で根を下ろし、また花を咲かせます。今、この学校で美しい花を咲かせている「光の子」の皆さんも、タンポポのようにやがてそれぞれの場所で、新たな環境で自分の花を咲かせ、周りの人々を温かく照らす存在になるのです。

 およそ20年前に聖霊中・高の校長であった、大橋神父様が「光の子」について述べられた文章の中で、「たんぽぽ魂」という詩を先日偶然目にしました。ご自身の作品なのか、他の方の詩を引用されたのかはわかりませんが、その詩を紹介します。

「踏まれても踏まれても ちぎられてもちぎられても

芽を出して天に向かって伸び続け 美しい花を咲かせるたんぽぽ そんな人間に私もなりたい」

 皆さんも桜のように、またタンポポのように、これからも、「光の子」として、お互いに支え合いながら、少しずつ、でも確実に、自分の周りをいっそう美しく、明るくしてください。

 そして、先ほど歌った校歌の歌詞の一節にあるように、

「永久(とこしえ)に咲き誇らなん御国の花と」

 この言葉のように、皆さんがいつまでも輝き続けられますようお祈り申し上げ、私の式辞といたします。

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