2025/03/13
- 校長先生からのメッセージ
時報第164号より「創立75周年を迎えて その3『1995年の法人合併』」
名古屋聖霊学園が1950年代と1970年代に難局を乗り越えたことについては過去の時報でお伝えしました。1990年代になると学園は新たな課題に直面しました。当時、聖霊学園の運営母体であった聖霊会のシスターたちは、秋田の聖霊学園の他、名古屋や金沢の聖霊病院、さらに各地の教会の運営と活動を支えていました。ここで直面したのが会員不足問題です。名古屋聖霊学園でも、学校運営に関わるすべての責任を聖霊会のシスターが担い続けることが困難となりました。1995年、名古屋聖霊学園は南山学園と合併するという決断に至りました。
南山学園は、地理的に近く、同学園を運営する神言会と聖霊会がアーノルド・ヤンセン神父によって創立されたという共通点がありました。当時、学校法人の合併は日本で初めての事例で、すべての当事者にとって手探りの事業となりました。聖霊学園を守り維持するために必要であるという認識とは裏腹に、教職員や卒業生の間には、聖霊教育の伝統や精神、校風が失われる可能性に対する強い不安がありました。シスターたちは、このような懸念を払拭し、「光の子」を育てるという使命を未来へ引き継いでいくために、学校運営責任を南山学園に委ねた後も、聖霊中学高等学校に留まり、献身的に教育に関わり続けました。
30年間にわたって名古屋聖霊学園理事長を務められたシスター・トマは、80歳を超える年齢で合併直後の校長に就任し、理事会の理事、相談役としても引き続き尽力なさいました。また、若いシスターたちは宗教教育を担当しました。2011年に退職されるまで副校長を務めたシスターもいらっしゃいました。校長として着任した名古屋と長崎の南山で学校管理者として豊富な経験を持つ神言会の会員たちは、シスター・トマの聖霊教育に対する強い想いに感銘を受け、その意思を継ぎ、聖霊独自の伝統と特色を継承することの重要性を深く理解して聖霊教育を守り発展させました。
シスター、教職員、生徒、保護者、そして卒業生たちは心をひとつにし、合併という大きな変化を乗り越え、「光の子」を育むという創立当初から掲げた使命を守り続けるため、力を尽くしました。創立75周年を迎えるこの節目にあたり、私たちは改めて「光の子」としての志を新たにし、キリストの光を世の人々に届けることを目ざしましょう。そして、聖霊中学高等学校から放たれる「光」が、全世界へ「愛と平和の響き」を広げることを心から願っております。