2017/04/08
- 校長先生からのメッセージ
2017年度 入学式「雨ニモ負ケズ」
つい先日まで吹いてきた冷たい風が和らいで自然の豊かなこの聖霊の丘でようやく桜の花が 咲き始めている今日、大勢の来賓をお迎えして、ここに聖霊中学校・高等学校の入学式を行うことが出来ますことを心から喜び、厚く感謝申し上げます。
新入生の皆さんは3月にそれぞれの小学校あるいは中学校をめでたく卒業して、そして今日 聖霊中学・高等学校に入学することができました。新入生の皆さん、入学おめでとうございます。
ご列席の保護者の皆様にも心からお祝い申し上げます。今日はお嬢様のご入学おめでとうございます。
皆さんは宮沢健二が書いた「雨ニモ負ケズ」という詩をよく知っていますね。40年前に私が日本語を勉強したときに、カタカナを覚えるため、ほとんどカタカナで書かれたこの詩が課題として出されました。学校の授業やテレビ番組などでは、最初の節がよく紹介されていますが、私は最後の方が大好きです。
それは
「東ニ 病気ノ子ドモアレバ 行ッテ 看病シテヤリ
西ニ 疲レタ母アレバ 行ッテ ソノ稲ノ束ヲ負イ
南ニ 死ニソウナ人アレバ 行ッテ 怖ガラナクテモイイト言イ
北ニ ケンカ ヤ ソショウ ガアレバ ツマラナイカラ ヤメロ」
というところです。この短い節に「行ッテ」という言葉は3回繰り返されています。これが大事なポイントです。
東西南北のどこにでも困っている人がいれば、積極的に動いて、行ッテ助けようと宮沢健二はすすめていると思います。
面白いことに2000年前にもイエス・キリストが同じような話をしました。それは、「よいサマリア人」というたとえ話で新約聖書に書かれています。キリストはユダヤという民族に属していましたが、サマリア人たちは ユダヤ人と対立していました。たとえ話では、あるユダヤ人が強盗に襲われました。殴られて今でいう意識不明の状態になってしまいました。そのユダヤ人を、違うユダヤ人2人が見ましたが、無視して、立ち去りました。しかし、対立しているはずのサマリア人は、襲われた血だらけの人を見て、憐れに思って、彼に近寄ッテ、介抱して助けました。
このたとえ話をしたあとで、キリストは「襲われたユダヤ人の支えになったのはこの3人のうち誰だったか」と聞いている人に質問しました。聞いている人は、「あの人を助けた人だ」と 答えました。そして、キリストは彼にすすめました。「あなたも、行ッテ、同じようにしなさい」と。
キリストも宮沢賢治も言っているように、困っている人を無視するのではなく、あなたも行ッテ、積極的に助ける気持ち、これが、聖霊中学校・高等学校の教育理念「光の子として生活せよ」 ということです。
例えば、通学する地下鉄に疲れたおばあさんがいれば、立ッテ席を譲る、これが「光の子」です。あるいは、この学校にけんかかいやがらせがあれば、行ッテつまらないからやめろと言える人も「光の子」です。また、北の福島県にせよ、南の熊本県にせよ、災害などで苦しんでいる人たちのために何かをするなら、それは立派な「光の子」です。
皆さん、困っている人のところに行ッテ、積極的に助けてもらいたいです。あたたかい心遣いと思いやりをもってほかの人々に光を与え、輝く光の子となってください。宮沢賢治の詩の最後を知っていますか?「そういうものに、私はなりたい」です。私も、そういう人になりたいと思います。みなさんもきっとなれると思います。
それでは、3年間、また、6年間、頑張って「光の子として」生活しましょう。
以上で式辞といたします。