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2013/07/19

  • 校長先生からのメッセージ

2013年度 1学期終業式

 一学期の終業式というと、猛暑日に体育館と考えただけで暑くなりそうですが、相撲の名古屋場所について話そうと思いましたが、聞くだけで熱苦しくなるのでヒマラヤ山脈の話をしましょう。ヒマラヤには、富士山の二倍以上の8千メートル級の山があります。一年中、氷と雪に覆われた世界です。


 今年の5月に、史上最高齢の80歳の三浦雄一郎さんがヒマラヤ山脈で最も高いエベレストの頂上に着いたのと同じ頃、ひとりの日本人女性、河野千鶴子さんがヒマラヤにある別の山で遭難して、亡くなりました。66歳でした。


 河野さんは助産師として働きながら3人の子どもを育てました。病院の管理職に就いて40人もの部下を抱えていました。出世した女性のひとりと言えますが、本人は女性が低く見られていること、男尊女卑の世界から抜けだそうと模索して登山を始めたそうです。

 河野さんは山で自由になって、爽快な気分になりました。男女の線引きがなくて、自分で自分の目標の山を選んで決めて、自分の力で一歩一歩頂上に進むことができました。50歳に始めた登山で達成感を得ただけでなく、河野さんは新しい力、いや新しい自分を見つけたと言えるでしょう。


 自分を作る、自分を見つけるためには一生かかるのかも知れませんが、中・高校生の夏休みはその絶好のチャンスです。

 皆さん、この夏の大事な時間をどう過ごしますか。具体的な目標や計画がありますか。たとえば、中学生は本を読んだらどうですか。1年生は少なくとも1冊、2年生は2冊、3年生は卒業論文を書くのに3冊を読んだらどうですか。高校生は、進路をもっと具体化するために、自分の適性や興味を知るために、美術館や博物館に行ったり、演劇を見に行ったりするのはどうですか。また25人が進路ツアーで東京の大学を見に行くように、いろいろな大学のオープンキャンパスにぜひ行ってください。

 皆さんは、将来の自分を今少しずつ作っています。一つ一つの小さな目標に達することによって、将来の自分を少しずつ作っています。登山のときは、食糧や水やテントなどの20~30キロの荷物を背負うので走れません。将来の自分を作る時も、それと同じで、走れません。ですから、時間がかかっても、確実に地道に努力し、一歩一歩、前に歩き続けることが大切です。

 河野さんが8千メートル高い山の頂上に到着するのに一歩一歩前進したように、今皆さんは将来の自分に少しずつ近づいています。授業という縛りから自由になって、一か月程のまとまったこの休みに目標を立てて、時間を有効に使ってください。


 最後に、熱中症にかからず、事故にも遭わず、全員が9月に元気な姿で学校に戻ってこれるようにお祈りしています。

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